装丁家「貝原浩さん」との仕事

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―出版ニュース2008年10月号掲載より抜粋―
髙ニ三

 明石書店の編集部にいた時、貝原浩さんと知り合い、気が合いました。1987年に新幹社を始めた時、貝原浩さんを訪ね、平野甲賀さんと晶文社の本の話をしながら、以降、新幹社の本は、原則、貝原浩さんに装丁していただくことになりました。
 出版の前に貝原浩さんを訪ね、酒を呑みながら、本の内容を伝えます。年に数回は朝帰りになりました。書名が違うように、デザインもそれぞれちがうのですが、遠目で見ても新幹社の本とわかる、それが私の希望でした。それを貝原浩さんに託したわけです。
 中でも気に入った本を紹介します。『済州島四・三蜂起』、これは貝原浩さんが色校正を見た後、デザインにメリハリをつけるためにフィルムをカッターで削りながら陥穽させたものです。背が左に2ミリぐらい斜めになっていて製本所がどうしたらよいかと指示を仰いできました。初期の作品では『キム・ミンギ』『一冊まるごと在日朝鮮人』がいい作品だと思います。貝原浩さんの気もぎゅっと込められています。
 中期の作品で印象深いのは『順伊(スニ)おばさん』『越境する民』です。『順伊おばさん』の訳者・金石範さんはいつも田村義也さんの装丁で本を出します。田村さんへのつよい対抗意識の作品で、貝原浩さんの負けず嫌いが集約されています。最後の装丁が『済州島現代史』になりました。済州島の海や山や空が貝原浩さんにこのように残っていたのだなと、縁を改めて思います。(新幹社代表)
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(補足説明)
貝原さんは亡くなる前に済州島に行かれたそうです。髙の故郷は済州島のため、縁があると思ったということです。

※現在、新幹社の会社ロゴは貝原浩さんデザインの太陽です。
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